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ありがとう、ゆっくりお休み、親父

昨日午後、親父が永眠した。

1週間ほど前から自分で立って歩くこともできなくなり、寝たきり状態になっていた。
食も細くなって昨日の朝は大好きなアイスクリームも食べなかったらしい。
介護をしている弟が、親父がイビキをかいて寝ている間に病院に往診を依頼する電話を掛けて戻ったら、もう息をしていなかったと言う。

酒もタバコもやらず、持病もなく、毎日パンに付けて食べていたギリシャのオリーブオイルのお陰で医者から

「血液がサラサラすぎる」

と言われるほど健康で、半年前の健康診断でも何も悪いところがなかったので、老衰ということになるのだろう。

来週2月11日の建国記念日で91歳を迎えるはずだった。
名前の「紀(おさむ)」はこの紀元節の「紀」から取ったものだ。

親父は東京外国語大学インドネシア学科を卒業後、中堅の貿易会社に入社し香港に赴任した。
香港駐在中に私は現地で生まれた。
私は3歳で母と日本に戻ったが、父は私が成人するまで長く香港に駐在した。

その後、西武百貨店、西友と西武グループに勤め、北京、上海に駐在した。
香港と中国で人生のほとんどを過ごし、香港をこよなく愛する親父は、昨今の中国による香港での武力行使を辛い思いで見ていたことだろう。

西友を50代で早期退職すると、祖父の死後休眠状態になっていた貿易会社を継ぎ、一人で貿易会社経営を始めた。

インドネシア  肥料として価値の高いコウモリの糞
マレーシア   海鮮加工品やココナッツカレー
オーストラリア 病院の床ずれ防止用のシープスキン
中国      MOSバーガーなどに使われたXO醬
ギリシャ    エキストラバージンオリーブオイル
アメリカ    装飾用飾り紐

など、一人で世界を飛び回っては、買い付け、輸入通関業務、国内販売をこなした。
86歳の時、また新たな商材を探しに晴海の展示会場を歩き回っている最中に倒れ、それを最後に会社を弟が引き継ぐことになった。

とにかく実直で真面目で仕事が大好きだった。
久しぶりに一時帰国したり、電話で話しても親父は今彼が扱っている貿易業務の話を楽しそうに私に伝えてきた。

私の海外転勤を1番喜んだのも親父だった。
元会社から

「シンガポールとマレーシアの両方を見て欲しいが住むのはどちらがいいか?」

と聞かれ迷っている時に

「そりゃマレーシアだ」

と私のマレーシア転勤を決めたのも親父だった。
インドネシア語とマレー語は非常に似ている。
インドネシア学科卒の親父は私がマレーシアに渡ってからすぐにマレー語クラスに通い始めた。

海外で事業を起こし、海外で暮らす私を誇りに思ってくれていた。
親父の友人がクアラルンプールに来た時に

「『いつも息子はマレーシアやタイで頑張っているんだ、すごいんだ』と会う人みんなに自慢しているよ」

と聞いて涙が溢れてきてしまった。

コロナのせいで丸3年も会って話をすることができなかった。
もっといろいろな話をしたかった。
私のここ最近の会社や仕事の話もたくさん聞いて欲しかった。

今も出入国の規制が厳しく、一時帰国しても何もできないため、葬儀、火葬の手配はそのまま弟にやってもらうことになった。
もう明日の朝には火葬場だしね。
送り出すこともできなくてごめんね。
本当に今までありがとう。

今晩はカミさんと追悼の酒を飲みながら思い出話をすることにしたよ。
仲の良かった天国のおふくろとまた会えるね。
そこでまた積もる話もしなよ。きっと止まらないだろうね。

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8 ツッコミ “ありがとう、ゆっくりお休み、親父

  1. 素敵なお父さんですね。きっと天国でも息子自慢をされているでしょう。ご冥福をお祈りします。

    1. >らいぱち
      どうもありがとう。本当は全然自慢できる息子ではないけれど、本人がそう思ってくれていたなら良しとしましょうw

    1. >つるさん
      ありがとうね🙇 つるさんも一人で頑張ってたよね。お互い、身体に気を付けてやっていこうね。

      1. ありがとうございます。うちはひとり息子でしたし、妻もよく協力してくれました。長く自立していられるように、頑張ります!

        1. >つるさん
          親父は運動をしない人だったので、足腰が弱かった。火葬場で「骨は立派」と言われたけど、まるで筋肉がなかったってことだね。改めて継続的な運動を心がけようと思ったよ。

  2. いよいよ、こういう話題になりますね。
    私のところも、昨年弟が亡くなり義妹のサポートをしています。彼女は、不自由な体なので、一人では何もこなせません。なんとか介護できる施設を探してそこで、面倒を見てもらっています。社会的な介護も必要で手続き関連は、健常人の数倍はかかります。そうこうしているうちに、年末に母親が大腿骨を折ってしまい、いまだに病院から出られません。これから二人をどう介護・支援しようかと思案中です。
    ここ数年が、山場かと思いますが、自分もどうなることやら?

  3. >Malik
    それは大変だねぇ。。そして両親が亡くなると、いよいよウチらの番だなという気がしてきて、何とか迷惑を掛けずに逝けるようにしないとな、と思うよね。

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