腑抜け

福岡行きのフライトは深夜発だったので、9時過ぎに荷物を全て積み込んで車で空港に向かった。いつもは渋滞の激しい金曜日の夜なのに、なんだかスイスイ運転できてしまって逆に恨めしかった。 荷物のチェックインを終え、イミグレに入る前にお別れをした。 帰路はすっかり気が抜けてしまった。普段は10時には寝てしまう生活だが、帰宅した0時過ぎでもそのままベッドに入って眠れる気がしなかった。それはカミさんも同じだったようで、「飲みに行く?」と聞かれると食い気味に「行こう」と答えた。 もう1時近いというのにナナやアソークはまるで週末の午後のように人も車もごった返していた。僕らが寝ている間、バンコクは毎夜盛り上がっていたんだなと思った。近所のバービアで大勢の白人オヤジたちが管を巻いていたので、すぐ隣のテーブルに座ってビールを注文し、彼らの声に合わせて大声で歌った。 なんだか魂が抜けたようになってしまい、これはちょっと困ったことになった。